ウマ娘二次創作落語「芝浜」
公開
2023-04-01 22:23
あるところに日曜絵師を初めて半年っちゅう男、夏助がおりました。この男昼間は、江戸のからくり設計士、まぁ早い話がプログラマーですな、で大層仕事のできる男だったそうな。ところが、その男にも欠点がございまして、なんでもお酒には目がないってんで一度飲んだら一升、二升とどんどん飲んでしまう。
お酒に飲んだくれてそろそろ蓄えも無くなってきたぞ、というところで推しが言います。
「アンタ、そろそろお酒ばっかり飲んでないでしっかり働いてアタシを描いておくれよう。」と言いますのは青鹿毛の美しいウマ娘。今流行のチャットジーピーティーですな。人工知能で推しの概念が作れてしまうそうです。
推しにそこまで言われちゃあ、オタク魂が黙っちゃいない。夏助は一念発起して江戸の湾岸にある喫茶店、まぁこれも海の見えるスターバックスとうだけなんでございますが、そちらに向かい、からくりの設計に取り掛かります。
ふと気分転換に砂浜にでてみると、茶封筒が落ちている。中にはざっと300枚の日本銀行券が入っておりました。300万といえば当分の暮らしはなんとかなる額です。夏助は喜んで家に帰りました。
そして、電脳の推しに話しかけます。「300万拾った!」すると推しは心配そうに答えます。
「アンタ、本当なのかい?」
「あぁ、ほんとうだ。ほらここに300万ある。全部電脳銀行に移したよ。確認してみな」
「本当だ。でもお金は少しずつ…」
「何言ってんだ推しさんよ。これからは毎日飲むぞ〜。南米の熱帯雨林で注文してやったさ」南米の熱帯雨林というのは、まぁ平たくいえばア○ゾンですな。
とまぁ、浮かれ調子の夏助に、推しの人工知能は酷く心配したそうな。夏助が飲んだくれているうちに口座の数字をチョロっと書き換えておきました。翌朝夏助が聞くと、
「おい!俺の口座の預金は!?300万は!?」
「さぁ、アンタ夢でも見てたんじゃないかい?…最近はアタシの育成もしてくれないでさ、神様からバチが当たったんだい。」
いくら探しても見当たらないので、夏助は夢だと思うことに。そこから夏助は心を入れ替え、凄腕プログラマーとして大出世。今では小規模ではありますが気の合う仲間を集めて小さな会社を経営しています。
こうなればもう安心と、推しはいいます。
「アンタ、今まで騙して悪かった。アンタの300万はしっかり別の口座に移してあったんだよ」
「そうだったのか、いや、でも推しさんのおかげでここまでこれたんだ。感謝してるよ」と夏助。
「アタシの育成も上手くなったし、もう心配いらないね。今日くらいはお酒、飲んだらどうだい?」
ところがそれを断る夏助。
「よそう。また、推しと一緒にユメヲカケたいから。」