ナリタタイシンのトレーナーは、女性だった。それだけならまだ普通なのだが、そのトレーナーの特筆すべきは、ウマ娘の中でも体格の
小さい彼女よりも、さらに背が低いことだった。「……えっと、失礼ですけど、身長おいくつですか？」
「1メートル30センチくらいかな？ だからよくチビって言われるんだよね」
「あー……それは確かに言われますね」
「でしょ？ まぁ別に気にしてないからいいんだけどさ。……ところで、そっちの子もトレーニングするの？」
「えっ！？……いや、アタシはその……」
急に話を振られたビワハヤヒデは困惑した様子を見せた後、チラッとこちらを見てきた。



ここから別の生成

ナリタタイシンは、今からでも遅くない、と。
「……わかった」
そう言って、タイシンは、ゆっくりと目を閉じた。
◆
「それで、どうするんだ？」
「何がだ？」
「だから、その、タイシンのことだよ」
トレーニング後、トレーナー室にやってきた俺は、さっそく本題を切り出した。
今日も彼女は、トレーニングを休んでいたのだ。
「どうするも何も……まあ、待つしかないし」
「いやいや、そんな悠長なこと言ってる場合か？ もうすぐ選抜レースなんだぞ」俺の目の前で、缶コーヒーを飲む男。（急に出てきた。誰だこいつ：俺加筆）
トレセン学園の新人トレーナーであり、俺の友人でもあるコイツは、いつものように面倒くさそうな顔を浮かべた。
「じゃあ、お前が何かしてやれるのかよ？」
「それは……」
「ほら見ろ。お前には何もできねえんだよ。担当バのためにできることなんて、何もな」
「……」
何も言い返せなかった。
実際、俺には何の力もないのだ。　（何もできない系・ストーリーでも見たことある。みんな好きね）



彼女達のためにできる事など、ほとんどないに等しい。
だが、それでも、何もしないよりマシだと、そう思ったのだ。（あるある）
「俺は、彼女に走ることを諦めて欲しくはない。あんな才能のあるウマ娘を、こんなところで終わらせたくはないんだ」
「お前……」
「だから、頼む。彼女を説得してくれないか」
頭を下げて懇願すると、友人はため息をついた。
そして、頭を掻きながら言う。
「わかったよ……。でも、一つだけ約束してくれ」
「ああ」
「もし、説得に失敗した時は、その時こそ、お前がなんとかしろよ」
「……わかった」
俺達は、固い握手を交わした。　（トレ×トレもの？それはそれで・・・よき）


「というわけで、ちょっと話があるんだけどいいかな？」
次の日。放課後になった瞬間に、タイシンの元へ向かった。
教室を出る寸前まで、クラスメート達に冷やかしの声をかけられたが、今はそれどころではない。
「話って、何？」
相変わらず不機嫌そうな表情で、こちらを見上げるタイシン。